Outrigger Canoeとは
ポリネシアの文化を伝えて守り続けるスポーツでもあるアウトリガーカヌー。
他のスポーツでは味わえないスピリチュアルな大切な部分と誇りがあります。
オーシャン ヴァアは、アウトリガーカヌーのスピリットと誇りを守っていきたいと思います。
大切に守りたいルール”しきたり” Spirit of Va'a
これから紹介するルールは、ハワイで大切に言い伝えられているカヌーのルールである。
日本でいうなら、”柔道”や”合気道”など日本の武道に”しきたり”があるように、精神性を伴うアウトリガーカヌーにも”しきたり”があるのだ。守るか守らないかは別としてそれらを知らずアウトリガーカヌーに触れる事は、タブーであると考える。
しかし現在、ハワイでもタヒチ、オーストラリア、そして日本でもスポーツ面がクローズアップされ、ほとんど守られていない。
これらは、必ず守らなければならない掟のような厳しいものではないが、アウトリガーカヌーの存在と共に守り続けたい大切なもの、それが ”スピリット” である。
◉カヌーは家族の一員として扱う。
カヌーが作られ、お祈り(チャンティング)をした後、魂が吹き込まれカヌーは生き物になる。
物としてではなく人間の様に扱え。
海に出る前には必ず手入れをしておく事。
海から陸に帰ってきた時はきれいにする事。
カヌーが陸に上がっている時はカヌーの上に座らない、カヌーの上を飛び越さない(陸でパドルのトレーニングの為なら座っても良い)
ハワイでは人の上を飛び越えるのは寿命を短くすると思われていたのでカヌーでも気をつけましょう。
◉カヌーを陸に置く時は必ずノーズを沖に向けて置く。
古代の島々では他の島からの攻撃に対応できるようカヌーを必ず沖に向けて保管していた。時にはamaを他のカヌーのI’akoに重ねて保管しても良い。
◉カヌーを保管する場所の周辺のopala(ゴミ)を片付ける。
人に何 か言われるのを待たず自分で行動する。
Hoe aku i ka wa`a : カヌーを皆んなで進めよう~皆で助け合う。
◉カヌーを運んだり、きれいにする時は皆で助け合う。
これはカヌーを運ぶとき、カバーをかけるとき、保管するとき、 真水でカヌーを流すとき、カヌーに傷などがあるかこまめにチェックする。
このルールはその日初めて漕いだパドラーからクラブの長老、リーダーの人すべてに平等。
島では何か大きなイベントの時は必ず全ての住民、仲間ができるだけ助け合う。強い者は働き、年寄りは指導と励みを与え、若者は水と食べ物を運び、そして練習は必ず皆で参加する。
A`ohe hana nui ka alu`ia どんな大変な作業でも皆助け合えば出来る。
◉島では距離に関係なくカヌーを出発させる前にはお祈りをしていた。
お祈りは短くハワイ語でなくても宗教と関係なくても良い。
お祈りをする事によってクルーを一つにすることが出来る。
海や自然に感謝することができる。
◉カヌーが沖に出ている時はカヌーの中で立たない、ネガティブなことは言わない。
ネガティブな事を言うとクルー全体の努力やチームワークに消極的な影響を与える。カヌーの中ではアロハスピリットを心がけよう。
カヌーの中に泥や砂を運び込まないよう気をつけましょう。
`Ike aku, `ike mai, kokua aku, kokua mai.
Pela iho la ka nohana `ohana
人を認めれば人に認められる、人を助ければ人に助けられるというのが家族の関係であろう。
◉自分のシートの役割を覚えよう。
一度一緒にカヌーに乗った人はチームの一員、オハナになる、その為全てのメンバーがその役割を理解し活躍しなければならない。
Komo mai kau mapuna hoe ~パドルを水につけよう、皆で頑張ろう。
◉個人的な悩みは早いうちに自分で解決しよう。
陸で起こった事は陸においてくる、沖で起こった事は沖においてくる。
カヌ−に乗っている時はチームの一員として熱心に集中してパドリングしよう。
練習には必ず時間通りに来る事、これは特にコーチやステアーや他のリーダー的存在にも当てはまる。
◉カヌーに関わるハワイ語やその発音を正しく覚えよう。
ハワイ語での祈りやオリやチャンテイング、言葉を覚えよう。ハワイ語で呼ぶ時は正しい発音、リズムを使おう。
これらは結局語り継いで僕たちまで辿りついたので、それまでの色々な人々の個人的な意見も混ざっていると思われる。しかし、この語り伝えのシステムこそがハワイの伝統だ。
毎回少し変わっても上の世代から語り伝えられた説を受け継ぐのが一番大切なのかもしれない。歴史のある日本にもそんな『語り継がれ』てきた、継承されている素晴らしい文化や伝統がある。アウトリガーカヌーはそれと同じ類のものである。
ここ日本で、どのようにそのストーリーや歴史やルールは語り継がれ進化していくのだろう。
人間やカヌーが進化しても、そのスピリットを失わないで継承していくのは大切である。
『しっかりと大切な事を語り継いでいく。』それが今、アウトリガーカヌーに携わっている僕達の使命なのかもしれない。
そのためにもオーシャンではこの語り伝えの大切な伝統を守り続けたいと思う。そうしないと、10年後、20年後の日本でのアウトリガーカヌーは、その起源と全く違うものになってしまっている可能性があるのだから・・・。
ヴァアとは?
ポリネシアの世界ではヴァア(カヌー)は精霊と魂が宿る唯一の乗り物と言われています。
島のカヌーであり、外洋の海、島と島を漕いでつなげることができるカヌー、そしてそれを可能にする集団のことを彼らは誇りと愛情をこめてヴァアと呼ぶのです。
◉ヴァアの存在
ヴァアは遥か数千年前から地球上に存在し、人類が大自然のサインだけを頼りに太平洋の島々に拡散するのに使用されてきました。
ヴァア造りは、精霊の宿る森にある神聖な木を切ってそれをくり抜き、生命の源である海に浮かべます。すべての工程で天地自然、そして神々への畏敬の念と森羅万象いきとしいけるものへの愛と感謝の祈りが唱えられヴァアは誕生します。
◉調和、強調、共有
ヴァアを漕いで大海原を漕ぐとき、海とヴァア、ヴァアと漕ぎ手、漕ぎ手と海、すべてを調和させ、協調させ、すべてを共有し、自然の導きだけにゆだねます。
そこに個人は存在しません。漕ぎ手全員のマナ(神聖なエネルギー)がひとつになった時、ヴァアは人と天地自然とひとつになり、海を滑り、うねりに乗ります。
◉宇宙、自然
ヴァアは宇宙や自然と私たちをつないでくれる、そして心とスピリットを癒してくれる不思議な乗り物です。
漕ぐことは祈り
漕ぐことは愛と感謝
漕ぐことは海とひとつになること
漕ぐことは天地自然、先人とつながること
◉祈り
Mahalo Akua.
Mahalo Na Aumakua.
Mahalo Na Kupuna.
Mahalo Na Makua.
Mahalo Ke Kai.
Mahalo Ho'okele.
Mahalo Ia'u Aloha.
海に出る前に畏敬の念をこめ、神に、大自然に、先人達に、この場所に、海に、航海のナビゲートの全てに、愛と感謝の祈りを捧げます。
きっと何万年前もの昔から、日本の海洋民族にも航海の前の”お祈り”があったはずです。私たちはまだかろうじて残っているハワイやタヒチ、ポリネシアから、そのお祈りの儀式とスピリットを学ぶことができるのです。
<アウトリガーカヌーについて>
◉アマのついた小舟
「アウトリガー」とはカヌー(小舟)の片側に張り出した転覆防止用の舷外浮材の事をいいます。要するにそれが付いたカヌーがアウトリガーカヌーです。また、舟本体が人のお尻の幅ほどしかないので、Ama(アウトリガーの意)を海面から浮かせる事によって、かなりの速度がでるので、サーフボードと同じような感じで波に乗る事ができます。
◉アウトリガーカヌーの始まり
木材をつなぎ合わせて船を作る技術が未だ無かった時代、舟は丸太をくり抜いて作っていました。 しかし、くり抜いた木の幅だけではすぐに転覆してしまう為に、その防止の為、片側もしくは両側に浮き材をつけたのがアウトリガーカヌーの始まりです。
片側だけに浮き材がある事により、波と波の間で舟本体が宙吊りになって破損しないばかりか、うねりをうまく逃がして進むことができます。
古代のポリネシア、ミクロネシアの世界では漁業や移動手段、または戦艦として色んな形のカヌーが造られてきました。
また、自然と共に生活することが生きることのすべてだった時代、海に囲まれた島に生きた民族は、海と山の精霊が一つになるための神聖な儀式のためにも頻繁に使われていました。
◉アウトリガーカヌー誕生の必要性
ハワイは地球上で一番活発に活動しているプレートの上に位置する列島で、地理的にも4方を太平洋に囲まれ、全ての大陸から数千キロも離れています。常に安定した貿易風が吹き、何もさえぎるもののない海岸線が、太平洋の大海原に向けてさらされています。そのような大きなうねりや波が押し寄せる海に囲まれて生き抜くには、そこに生きる人間の特別な海の知識と独特のアウトリガーカヌーが必要だったわけです。 タヒチは環礁に囲まれた島が多いために、穏やかな海、うねりに対応する必要がないアウトリガーカヌーが造られました。
◉スポーツ競技としてのアウトリガーカヌー
ポリネシアの部族同士、島同士が戦い争っていた時代、休戦の時期の娯楽または戦いの一貫としてカヌー競争が始まったと言われています。
ハワイでは諸説ありますが、最初のカヌーレースは1900年代初頭に当時のハワイのプリンスでもあったPrince Kuhio が主催者として行なったと言われています。コアの木製のカヌーで競い合っていた時代を経て、1959年に初めてファイバーグラス製のカヌーMariaが登場してから、ファイバグラスのカヌーが主流となっていき、現在はカーボン素材の超軽量の6人乗りのカヌーUnlimited Canoe も登場し、様々なスタールのカヌーを使用し環太平洋の国々で毎週末のようにレースが行われるようになりました。
◉アウトリガーカヌーの呼び名
ハワイでは、何人のりでも、どんな形でも、帆をあげるカヌーでもアウトリガーカヌーはすべてWa'a(ワア)と呼ぶ。ちなみにタヒチではVa'a(ヴァア)ニュージーランドではVaka ama(バカアマ)と呼ばれます。世界共通の呼び名はヴァアが主流です。
〓アウトリガーカヌー用語
最低でも下記の名称は覚えておきましょう。
◉Paddle
(パドル)
カヌーの場合、オールとは呼ばずパドルとよぶ。
◉Paddling
(パドリング)パドルを使って漕ぐ行為。パドリングの方法は日進月歩でパドル力、年齢、カヌークラブ,チームの方針によっても違ってきます。
また、海のコンディションによっても違ってくる。
昔から決して変わらないのはただ一つ。6人でタイミングを合わせて同じ漕ぎ方でパドリングする事。
◉Paddler
(パドラー)アウトリガーカヌーをパドルする人の事で、6人乗りカヌーの場合、各シート(座る場所)により、漕ぎ方と役目がある。
◉Kino
(キノ)アウトリガーカヌーのハル、本体部分、
◉Ama
(アマ)アウトリガーカヌーの転覆防止の浮き材、大きくて軽いのが最近の主流。
◉Iako
(イヤコ)ヤクとも言う。アウトリガーカヌーのAmaとKinoをつなげている2本の木
◉Manu Ihu
(マヌイフ)アウトリガーカヌーの前の部分
◉Manu Hope
(マヌホペ) アウトリガーカヌーの後ろの部分
◉Kaula
(カウラ) リギングロープ(紐)のこと